連載全2回のうち第2回目
作成:讃匠 麺研究センター
続きの「3. 値上戦略 」からです。
〇 戦略とは戦を略す、即ち、血を流さずに勝つ方法を探ることであり、らしさを追求することなのです。
以下の3項目が戦略の考え方の必須項目です。
1.他社とは、異なる行動を伴なった、独自性のあるポジションを創り出すこと
2.競争上必要なトレードオフを行なうこと
3.トレードオフとは、何かを達成するためには、何かを犠牲にしなければならない関係のこと
〇 基本戦略の種類は3つです。
1.集中化戦略 中小企業に有効な戦略 (事例) 骨付鶏 一鶴
2.差別化戦略 ライバルとの徹底的な差別化 (事例) つるとんたん
3.コストリーダーシップ戦略 コスト有利で戦う戦略で、大手企業しか取れない戦略 (事例)牛丼の吉野家
〇 戦略ポジショニング
中小企業の戦略である集中化戦略を取っていくために、自店とライバルとの立ち位置を 明らかにする戦略で、ライバルのいない隙間を攻めて、強いポジションを明確にすることです。
下記は、麺ビジネスにおける戦略ポジショニングの事例です。
実際の戦略ポジショニングは、下記の順序で行ないます。
1 上記のように縦軸、横軸に異なったパラメーターを設定して、一般的な消費者の頭の中にある自店とライバル店との相対的な位置付けを行ないます。
2 ポジショニングの手順STP(セグメンテーション、ターゲテイング、ポジショニング)
現状分析
①ターゲット顧客が、購買において重要だと考える要素を列挙する …
(一般消費者が自社のビジネスに求めている要素の重要な要素)
②競合分析をおこなう …(同じ商圏での競合分析)
③マッピングの軸を決める …(同じような要素は避ける)
④競合の位置づけをマップに配置する …
⑤自社が狙うポジションを決め、それに基づくマーケティング戦略を立てる
3 ポジショニングの留意点は以下の通りです。
① 大きい山を狙う(市場が大きい)
② プラスの変化の山を狙う (成長性がある)
③ 自社の強みが活かせる (ライバルにない、自社だけが持っている特殊技術、特殊知識、過去のR&Dが活かせる)
④ 弱者は相手にしない、セグメントでトップになること (これは非常に重要なポリシーで、商圏内でトップを目指すことです。)
4 優れた商品は絶対です。
(参考)ダイソン社長 会社より商品が大切
5 市場のリーダーのポジションを確保する
カレーうどんと言えば、○○●〇
一層の努力をしなければいけないときは、勝負がまだ決まっていないときで、最終ゴールは、選んだ山の上に旗を立てることです。 そのジャンル、その商圏でトップになることです。
6 5 Way positioningの概念は次の通りで、以下の5項目で、全てが3以上、得意な分野でトップ、即ち、5点を獲得することです。
商品 | 価格 | サービス | アクセス 経験価値 |
記憶に残る Happyを感じたか |
---|---|---|---|---|
5 | 3 | 3 | 3 | 3 |
全てが5である必要はなく、どれか1つ最も得意なものが5で、その他は最低3である必要がある
(参考)人のニーズは果てしなくレベルアップするので、企業、ビジネスも果てしなく、レベルアップが必要です。
片時も油断せずに、今の商品を超えるものを作り続けることが大切です。
最も早く、簡単に売上だけでなく、利益アップ出来る方法が、商品の値上です。
下図のように、現状で毎月100万円の利益が出ている場合、10%の値上げで利益は200万円になり、20%の値上げでは利益は300万円と3倍になるのです。
但し、単に値上をしただけでは、売上は必ず、落ちる可能性が高いのです。
そうしないために、お勧めしたいのが、どこにも負けない、最高品質の麺作りです。
その結果、高価格で、商圏を広げた広域商圏戦略です。
最高品質の麺で商品作りを行ない、食べログの点数は、最低で3.5以上に持ち上げることです。
売価 | 10%引き | 20%引き | 30%引き | |
---|---|---|---|---|
価格 | 1,000円 | 900円 | 800円 | 700円 |
コスト | 700円 | 700円 | 700円 | 700円 |
利益 | 300円 | 200円 | 100円 | 0円 |
利益の減少率 | 0% | 33% | 66% | 100% |
うどん | 安くて最高に 売れる金額 |
一番利益が出るのは、 一番たくさん売れる価格設定の 2倍程度の価格です |
高くて誰も 買わない金額 |
|||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
価格 | 600円 | 800円 | 1,000円 | 1,200円 | 1,400円 | 1,600円 | 1,800円 | 2,000円 |
変動費率 | 40% | 40% | 40% | 40% | 40% | 40% | 40% | 40% |
変動費 | 240円 | 320円 | 400円 | 480円 | 560円 | 640円 | 720円 | 800円 |
固定経費 | 350円 | 350円 | 350円 | 350円 | 350円 | 350円 | 350円 | 350円 |
1食原価 | 590円 | 670円 | 750円 | 830円 | 910円 | 990円 | 1,070円 | 1,150円 |
1食利益 | 10円 | 130円 | 250円 | 370円 | 490円 | 610円 | 730円 | 850円 |
食数 | 100食 | 85食 | 75食 | 55食 | 40食 | 25食 | 10食 | 0食 |
総利益 | 1,000円 | 11,050円 | 17,500円 | 20,350円 | 19,600円 | 15,250円 | 7,300円 | 0円 |
上記の通り、誰にでも売れる、一番売れ安い価格設定は一番利益の出ない価格設定です。
一番、利益が出るのは、一番売れる価格設定の2倍程度の価格です。
殆どの人達は、この安すぎる価格設定では、利益が出ず、過当競争に陥っているのです。
殆どのうどん店はうどんを売ろうとしているので、安くしか売れないのです。
例えば、スタバはコーヒーを売ろうとしていないのに、コーヒーが高く売れて、シッカリ利益を出すことが出来ています。
うどん店が、うどんを売ろうとするので、過当競争になり、儲からなくなり、 製麺機メーカーが製麺機を売るので、製麺機が売れず、過当競争になるのです。
売りたいモノをダイレクトに売るのではなく、売れる仕組みを作ることが大切なのです。
〇 戦略とは戦を略す、即ち、血を流さずに勝つ方法を探ることであり、らしさを追求することなのです。
以下の3項目が戦略の考え方の必須項目です。
〇 基本戦略の種類は3つです。