連載全4回のうち第1回目
作成:讃匠 麺研究センター
最近、麺業界で話題になっているチェーン店の繁盛店に行ってきました。
大型店にも関わらず、深夜にも行列が出来る店として有名だったので、以前から気になっていたのです。
私が行ったのは、深夜の行列店のある都市圏の店舗ではなく、地方の中堅都市にある店舗で、郊外型店です。
席数は74席で、最も感心したのは、席の取り方と商圏分析データとの関連でした。
この店舗の商圏分析をしてみると、半径500mの徒歩商圏人口は約3千名なので、基本的に郊外型店舗で、 駐車場台数は席数の6~7割程度は必要な場所でした。
従って74席の6~7割であれば、少なくとも40~50台の駐車場台数は必要です。
それに対して、実際の駐車場は1階が約60台で、更に2階もあり、ほぼ同数の駐車場台数でした。 商圏分析では、半径5kmの商圏人口は34.7万人でした。
世帯の分布を見てみると、1人世帯が全体の49.9%の約半分を占めています。
次に2人世帯は22.9%、3人世帯は13.5%、4人世帯は10.0%、 5人以上の世帯は3.8%になっていました。 私が訪問したのは、夕方の7時くらいでしたが、1階駐車場はほぼ満車で、店内も何組も待ち席が出ていました。
名前を書いて並ぶと約20分程度で、名前を呼ばれました。 店内に入り、席の取り方をまず観察してみると、1人席が20席、2人席が8テーブル、4人席が5テーブル、 6人席が3テーブルで、この商圏の世帯構成に非常に良く合わせていました。
このように、分析したデータとそれに合わせた店作りは、店内生産性を上げるのには、欠かせないのです。
次にメニューブックを見ると、メニューは全部で180品目あり、当社でメニュー分析をしてみると、 売りたいメニューと売りたい価格帯がきれいに一致して、メニュー戦略がキチンと出来ていることが分かりました。
更に、この店舗の客単価を推定してみると、約1千円余りで、郊外型のうどん店としては、高い単価でした。
今週は、本社でのうどん学校でした。 上海から来た32歳の生徒さんには本当に驚かされました。
10年前に大学を卒業して、友達5人で、上海で寿司店を始めたのだそうです。 その寿司店は最初からうまくいき、コロナの前年の2019年には15店舗まで拡大したそうです。
ところがコロナが始まった2020年から、急速に出店が速まり、この4年間で85店を追加して、 現在では全体で100店舗まで増えたそうです。 日本では、コロナになり、多くの飲食店が閉店し、或いは売上を大きく落としていたのに、 この寿司店は、店舗数をコロナになってから大きく伸ばしたのです。
その大きな原因がウーバーのようなデリバリーで、ネットとITを駆使して、売上を急拡大したのです。 昨日の経営講義の中で、本人から説明があった会社の仕組作りには、非常に感心し、感動しました。 今回のうどん学校の講師を務めた、中国人の孫さんが、次回、中国にこの仕組みを学びに行ってきます。 次回のどこかで、この仕組みを熱心な皆さんとも共有し、当社の会社も大きく変えたいと思っています。
最近、あらゆる外食ビジネス、あらゆるビジネスを見ても、 数値分析とデータ管理は非常に重要なテーマになっています。
例えば、私は常にPCを使ってデータ管理しています。
もし、これをノート、或いはアナログでのデータ管理であれば、 どれだけ時間のロスになるかはかり知れません。
PCは私の頭脳の拡張手段であり、PCに一旦入力すれば、絶対に忘れることはなく、 いつでも、どこでも必要な数値を取り出すことが出来るのです。
麺ビジネスにおいても、日々の数値管理を昔の様に、記帳による管理とPCによる管理では、その後の拡張性の意味が全く異なってきます。
PCで管理することにより、記録したデータをあらゆる方向から深読みすることにより、 われわれが普段、見落としている事実を発見することが出来るのです。
従って、繁栄店を作り上げるには、「お客様の徹底的分析」は必須です。 例えば、商圏分析であれば、ライバルがいない場所、ライバルの少ない場所を見つけて、 無益な競争を避けて、1人勝ちするためです。
ビジネスは競争しないこと、競争して得るものはなにもないのです。 競争しないで、1人勝ちこそ、最高の戦略なのです。
そして、何店も展開していると、同じように営業しているのに、非常に繁盛している店と、 そうでない店が出てきます。 その場合に、それぞれの商圏分析をしてみると、このビジネスモデルには、 このような商圏が合っているということが商圏分析を通して分かってきます。
ビジネスモデルと、商圏は非常に強い関連があります。 例えば、同じようなラーメン店であっても、幸楽苑は郊外立地に合っていて、 日高屋は、都市型立地向きです。 当社のユーザーさまで、非常に素晴らしい戦略を持っている会社では、 ライバルの成功店の立地の商圏分析をして、その会社の戦略を見通しています。 これからは全て、店舗戦略をデータ化して分析しているのです。