うどんの画像

連載全2回のうち第1回目

作成:讃匠 麺研究センター

美味しい麺作りには、欠かせない圧延技術の深掘り:ロール 編

目次

皆さん、先週で美味しい麺生地作りの話が終わりましたが、うどん蕎麦、ラーメン等、 一般的な麺の製法では、麺生地が完成すれば、薄く圧延する工程がその後に続きますが、 圧延しないでも麺線にして、美味しい麺を作れる方法があるのをご存じですか。
実は、その代表的な麺が刀削麺で、麺生地をナイフで厚さ2~3mmに削いでいく麺で、 ナイフで薄く削いだ麺線を勢いよく、沸騰している鍋に切り込んでいくと、 鍋の中で、短時間で茹で上げられて、食感のシッカリした美味しい麺が出来上がるのです。
まさに職人技の世界で、最近では刀削麺専用の人型のロボットまで作られています。 それ以外の圧延しない麺は、小さい穴から押出方式の韓国冷麺とか、スパゲッテイです。 それぞれ、特徴のある食感を楽しめる麺になっています。

1.麺の本質とは、麺生地を成型し、美味しく、食べやすくすることです

うどんの原型は、小麦粉を水で捏ねて、 団子にして茹でた食べた団子汁です。 それが洗練されて、食べやすくなり、最高に美味しくなり、 うどんは小麦粉の芸術作品と言われるようになりました。 その食べやすく、美味しくした技術が麺の圧延技術で、 薄く延ばし、食べやすいサイズにカットすることで、 美味しさを引き出したのです。

2.圧延工程の本質とは、圧延の原理ー引っ張るよりもつぶす方が伸びやすい

圧延とは、2本のロール隙間を通過させることで、薄くしながら塑性変形させる方法です。
塑性変形とは、元の形に戻らない変形で、変形しても、元の形に戻るのは弾性変形と言います。 素材を塑性変形によって延伸させる方法として、引っ張りによる方法、圧縮による方法があります。
圧縮の利点は、破断することなく非常に大きな延伸が得られる点です。 これは材料内部に働く力が主として圧縮となるため、材料に亀裂が発生しにくいからです。 圧延のもうひとつの利点は、材料を延伸させても板厚が薄くなるだけで、 板幅はあまり変化しない点です。
引っ張りの場合は、板厚の減摩と板幅の縮みが同時に生じます。 大きく延伸しても板幅が変化しないことは、幅の広い麺生地の製造に役立ちます。
但し、手打ちうどんの場合の圧延は2本のロールの間での圧延ではなく、 細い麺棒に巻かれた麺生地と平たい麺打ち台との間の圧縮により、圧延されるのです。
その原理は下記の通りです。

反対に真打とか、リッチメンのようなロールでの圧延は下記の様に、 同じサイズの2本のロールの間で圧延が行われます。 従って、一気に圧延すると、麺生地の組織が破壊されます。

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