うどんの画像

連載全6回のうち第5回目

作成:讃匠 麺研究センター

AI時代の麺ビジネスの正しい始め方-5

2.AI時代の麺ビジネスの選択肢は、無限にある

5.世の中の大きなトレンドを理解し、未来に先回りする③からの続きです。

④食べ易さの追求

食べ物の進化の歴史は、食べ易さの追求の歴史でもあります。
有史以来、人びとは、食べ易さを求めて、調理技術の進化を進めてきました。
例えば、うどんの原型は、小麦粉を水で捏ねて、 茹でただけのすいとん或いは、団子でした。
しかし、これは食べ易くないし、あまり美味しい食べ物ではないので、 小麦粉を捏ねて、薄く延ばし、包丁で線状に切り、 茹でて食べるようになったのです。すると、箸でつまんでも食べ易いし、 咀嚼が非常に楽になったのです。
或いは、私が小さいころは、硬いスルメイカを平気で食べていましたが、 今はほとんど見かけません。硬くて、食べ易くないのです。
米飯の消費の落ち込みが大きい一つの原因も食べ易さであると思います。
だから、米飯を成型して、すしにすると、 子供でも食べやすいし、楽しいので、 回転すしがこれだけ成功しているのです。
先進国では少子高齢化が進んできています。 老人になれば、噛む能力、即ち、咀嚼(そしゃく)能力が落ちてきます。
麺はそんなに噛まなくても食べることが出来るので、 これからの時代は麺の時代であると言えます。

⑥エンターテイメントの追及

この成功事例は、実演自家製麺で成功した「丸亀製麺」であり、 焼き肉レストラン、回転すしもこの範疇です。
もし、焼き肉レストランで、オーダーを受けてから、 既に調理済の焼いている肉が出てきたら、 果たしてお客様は今のように、焼き肉レストランへ行くでしょうか。
お客様が焼肉レストランへ行く理由は、 自分たちで焼きながら食べる楽しさです。
既に焼いている肉が出てきたら、まず、行かないはずです。 だから、回転すしも次は何のネタが流れてくるのだろうかとか、 ワクワク感を感じることがあるためではないでしょうか。

⑦アートの追及

アート即ち、高いデザイン力とか、芸術性も重要な要素です。
店舗の内外装におけるデザインレベルの高さ、 料理の盛り付けにおけるデザイン力、 スタッフたちの衣装のデザイン力等々、 デザインの良さで訴える力が全く異なってきます。
お客様は自分の五感に感じるモノを通じて、お店を判断します。 その結果、ファンになったり、利用しなくなったりします。 だから、お客様が心地良さを感じるような高いレベルのデザイン性の追求は これからの重要なテーマです。
デザインは感性の世界であるので、これを磨くには普段の心掛けとして、 服装に注意をします。
自分の個性を思い切り引き出せるような服装を身に付ける習慣をつけます。 次に、デザインレベルの高い店舗に行き、感性を磨きます。 そして、見てきたものを自分で試してみます。 いずれにしても感性を磨き続けます。

⑧サイエンスの追及

サイエンスは科学の世界です。 調理の世界では新しい調理方法が次々と開発されています。
それらはいずれも今までの常識に挑戦した新しい方法です。 当社が推し進めているデジタル・クッキングもそのような事例のひとつです。デジタル・クッキングによる勘の排除で、 誰でも同じような料理を簡単に理化して作ることが出来るようになります。
また、低温調理とか、野菜の50℃洗い、 70℃蒸し等も新しい調理方法です。
このような新しい調理技術にチャレンジしていくことにより、 更なる美味しさ、食べ易さ、健康志向の追及が可能になります。

⑨飲食ビジネス=料理×アート×サイエンス×ユーモア×哲学

世の中は、ますます複雑な方向へと大きく舵を切っています。
飲食ビジネスの世界もまったく同じです。 昔は飲食ビジネス=料理の単純な、良き時代がありました。
しかし、今はそれだけでは不十分です。 アート(芸術性)、サイエンス(科学)、 ユーモア(楽しさ)、哲学(ポリシー)の要素が必要な時代になりました。
この複雑さの必要性を理解し、それぞれを深めていくことが 飲食の世界を早く極めることが出来る重要な要点です。