連載全4回のうち第3回目
作成:讃匠 麺研究センター
その地域によって、求められる客席数や配分が異なります。 事例を紹介しましょう。
① 席数約70名様・駐車場約60台の店
・1人席×20テーブル=20名
・2人席×8テーブル=16名
・4人席×5テーブル=20名
・6人席3テーブル=18名
実際にこのお店を訪れたところ、ほぼ満席で、大繁盛していました。
1人席には1席ずつ仕切りがあり、女性客が周りの目を気にせず、 好きなものを食べることができる仕様になっていました。
4人席や6人席はファミリー向けで、お子様連れでも安心して来店することができるようです。
②品川にある当社の東京支店での商圏分析
単身世帯が、全世帯数の半分以上に当たる53.5%程度にまで達しています。
品川付近に住んでいる人達の大半は1人世帯だという事です。
同時に、4人以上の世帯は全体の11%程度しかいません。 従って、残りは2,3人世帯です。
今までの想像を超えて、一人世帯が多い事が分かります。 そして、この様な一人世帯の殆どは、マンションとか、 アパートに住んでいるはずです。
狭いマンションとか、アパートでは焼き魚とか、 天ぷら料理をする事が殆ど不可能に近いでしょう。
焼き魚は匂いが残るし、天ぷら等は匂いと後始末が大変です。
従って、昔は自宅で料理をしていたものも、 今では自宅で料理が出来なくなっているものが多いのです。
自宅で料理が出来ないものは、外食で楽しんだり、 惣菜として販売しているものを買って帰ったりする他ないのです。
だから、一人世帯が増えれば増えるほど、 専門的な料理の需要、家庭で作れない料理の需要が増えてきます。
多分、皆さんのエリアも同様に、この様な世帯別の分析を行うと、 今まで思っていた事と、全く違った世界が見えてくる事でしょう。
全国の殆どのうどんそば店、ラーメン店等は 前年比の売上を落とし続けている店が多いです。
売上が下がっている要因として、お店がやっている事と、 お客様のニーズの開きが大きくなっている事が上げられます。
例えば、一人世帯の人達が良く利用しているのが、コンビニの食品です。 コンビニの食品はスーパーと比べると、決して安くはないです。
それでも買っているので、一人世帯とか、二人世帯の人達は 価格にはそれほどこだわっていない様です。
次に、スーパーで売っている食品は惣菜にしても、 一人世帯には量目が多過ぎるものが殆どです。
私は年間かなり出張するが、誰かと一緒の時は必ず、外食で色んな店に行きますが、 たまに一人の時には、スーパーで惣菜を買ったりする事があります。
その場合に感じるのは、一人用の惣菜は殆ど無いのです。
殆どの惣菜は、家族3,4人用になっています。
何を買っても、量が多いので、色んな種類のものが買えないのが現実です。
この様に一人世帯と、二人世帯がこれほど増えているのに、 殆どの飲食店はこれに対応出来ていないのです。
うどんそば店、ラーメン店もメニュー自体は、 一人ずつのお客様に対応出来ているが、 席の取り方では対応出来ていない店が殆どです。
その地域のニーズに合った席配分が必要ということです。
新規に郊外型の店舗を始める人の殆どは、駐車場の足りない、 或いは、駐車場が無い状態で物件を決めてしまっている事が多いです。
本当は、駐車場台数が席数の半分程度必要にも関わらず、 全然、確保しないで開業している人が多いのが現状です。
昼間、物件を見て回った結果、 物件の周辺に或る程度、人が居たので駐車場が無くても出来るのではと、 思った人が多いようです。
ところが、商圏分析をやってみると、 駐車場が十分に無ければ、営業できない場所である事が分かります。
駐車場の問題は無視出来ない問題なのです。
既に開業している方の場合は、駐車場が必要であるのに、 駐車場の無い場所で営業していると、 隣近所との問題を抱えている店が多いです。
ですので、繁盛する為には、まず、駐車場の必要な場所では、 シッカリと駐車場を確保するのが鉄則です。
立地を探している人達に、この話をすると、その様な場所は無いとか、 もし、有っても、家賃が非常に高いとかの話になりますが、 それは、殆どの人達が競争の厳しい場所で物件を探している為なのです。
ビジネスに於いては、絶対に競争をしてはいけないので、
その様な場所で物件を探してはいけないのです。
大切なことは競争の無い場所を探すべきということです。
日本の現状を見ると、殆どのビジネスは過当競争の状態です。
そして、殆どの人が利益を上げられない状態になっています。
厳しい過当競争状態であれば、利益を上げる事は非常に難しいのです。
ビジネスに於いては、売上を上げる事が重要ではなく、
利益を上げる事が、もっと重要です。
利益が出ていないと、前向きの投資が出来ません。
将来に備えての蓄積が出来ないのです。
だから、利益を得る事を、ビジネスの最優先にしてはいけないが、
別の次元で利益を確保する事は外せないのです。
麺専門店を個人で開業する人達は、この視点が抜けている人達が多いです。
もし、すぐ近隣に月極め駐車場があり、
その賃貸料が月間2万円でも、十分にペイできます。
これは、事業計画書でシュミレーションしてみると、
すぐに分かることです。
だから、利益を上げる為には、感覚だけではなく、
しっかりと商圏分析等のツールを使って、分析をしてみる必要があります。