連載全2回のうち第2回目
作成:讃匠 麺研究センター
うどんの場合は、ラーメンのような中加水、少加水がありませんので、
熟成時間と温度の関係はほぼ同一です。
しかし、ラーメンの場合は、加水の低い少加水もあれば、
多加水との中間の中加水もあり、 熟成時間はそれぞれ、異なります。
また、ラーメンの場合は、最初のミキシング後は、そぼろ状態での熟成ですが、
複合工程の後は、麺帯に巻き取った状態での熟成になります。
ラーメンの製麺工場では、大型自動製麺機で麺を大量に作っており、
以前の製麺機は熟成時間をほとんど取っていなかった場合が多かったのですが、
最近は、熟成の大切さが理解され、大型ラインでも製麺の途中で熟成工程を取る場合が多くなってきています。
うどん業界において、熟成の概念を最初に提唱したのは、
当社、大和製作所で、この業界で最初に熟成庫を作ったのも当社です。
熟成庫に取って非常に重要な要素のひとつが、庫内温度の安定化です。
一般的に、熟成庫は冷蔵庫を改造して作られているので、
上下に背の高い構造になっており、上部と下部の温度差を一定にするのは、なかなか難しいのです。
特に、熟成庫の中に麺生地が入ると、庫内の空気の循環が悪くなり、
上部の温度は高く、下部は低くなります。
これを一定にするために、熟成庫には特殊な技術が盛り込まれています。
従って、熟成の原理原則を理解していないと、本当に性能の良い熟成庫は作れないのです。
更に、熟成庫の庫内の温度を早く正確に一定にするために、
比例制御という難しい温度コントロール技術が使われています。
従って、最近でも当社の熟成庫と他社の熟成庫では、
熟成度合が異なってくるというご報告をお客さまより頂きました。
うどんを始め、全ての麺は生きものです。
最高に美味しい麺を作るためには、その工程、工程で適切な温度管理は欠かせないのです。
私が美味しい麺作りにおいて、熟成工程が欠かせないことを理解したのは、
創業間もない頃、真打でうどん作りをしていた時でした。
私は、真打でうどん作りを始めた当初より、麺の美味しさを常に手打ちと比較したり、
最高に美味しいと言われているうどん店のうどんと比較したりしていました。
さぬきうどんの本場、香川県には、昔から朝練り即打ちという、
うどん作りの言い伝えがあり、うどん作りは早朝から始まり、
早朝に練り、練った生地を足で踏んで鍛え、
麺棒で圧延して、カットして麺線にして、すぐに茹でる工程でした。
ところが、その工程通り、幾らうどんを作っても、
本当に納得できるような美味しいうどんが出来ず、
コツンと硬いうどんになりました。
そこで、なぜ、硬くなく、ソフト感があり、粘り強いうどんにならないのかと、
書物を紐解いたり、試作を繰り返しているうちに、
練ってから、寝かしておくと、美味しいうどんになることを発見しました。
昔からの言い伝え通りではなく、練ったあとに、
寝かす工程を取ると美味しいうどんが出来るのかを原因を突き止めたのです。
その結果、わかったことは、昔の小麦粉と現在の小麦粉の違いだったのです。
昔は、水車製粉で小麦粉を挽いていたので、全粒粉でしたが、
現在の小麦粉は小麦の中心部分しか使っていない、
色も白い、酵素活性の非常に低い小麦粉を使っているので、
熟成時間を十分に取らないと美味しい麺にならないということだったのです。
要するに、昔の小麦粉には、小麦全体を挽いていたので、
不純物も多く、酵素活性が高く寝かせる必要がなかったのです。
従って、小麦粉を使う麺作りは、熟成と非常に密接な関係があり、
現代の小麦粉で作られた麺は基本的に熟成工程が必要です。
また、デジタルでの数値管理も非常に重要です。
数値で管理すれば、誰が作っても、いつ作っても、
同じような高品質が麺が年中提供出来る様になるのです。