連載全3回のうち第3回目
作成:讃匠 麺研究センター
鍛えられた麺生地の表面を見れば分かります。 鍛えられた直後の麺生地は、生地の表面がつやつやとして、 シッカリ張っていて、光り輝いています。 壊れた麺生地は、表面に傷があるのですぐ分かります。 鍛えが足りない場合は、表面の張りがなく、指で麺生地の表面を抑えても、 反発しないし、戻ってこないのです。 丁度良い鍛え状態の場合は、指で押さえると、適度に張りがあり、 指で押さえたところが最初はくぼんでも、すぐに反発して元へ戻ります。
丁度良く鍛えていても、時間経過と共に麺生地はダレて、 弾力が無くなってしまいます。 それを製麺にしても、最高に美味しい麺は出来ないので、 ダレてしまった麺生地を元の状態に戻す方法として、 再度、丸め直しを行ないます。 これは、簡単に手で出来ますので、手で麺生地1個ずつ、 丸め直してやります。 すると、元の様に弾力が戻り、圧延してカットしても、 シッカリした麺線になります。
私は自分の人生の半分以上をうどんの研究に取り組んできたことになります。そこでつかんだ結論がうどんとは小麦粉の芸術作品だと言うことです。 江戸時代にもうどんはあっただろうが、 今日我々が食べている様な美味しいうどんを食べることは 出来なかったでしょう。それは小麦粉が今日の様に精製されていなかったからです。 例えて言えば、玄米と白米の差です。玄米は確かに身体に良い、健康に必要なミネラルが沢山含まれています。 ところが白米と比べると決して美味しくはないです。江戸時代の小麦粉も同じようなものです。 全粒粉で外側の現在では家畜の飼料にしているフスマ部分から全て含まれているので、 色も黒く、食感も決して良くなかったことが想像されます。従って、現在我々が普段口にしている様な繊細で美味しいうどんとは かなり違った食品であったことが想定されます。現在のうどんは小麦粉の特性を100%活用し、塩水を充分に加水し、 タンパク質を完全なグルテンの立体的な網目状組織に変化させ、 その網目の間に澱粉粒を包み込み、 強靭な鉄筋コンクリートの様な組織を作り上げています。これが粘り強くて、柔らかさと硬さのバランスが取れた美味しいうどんの食感を作り出しています。最高の技術で作り出される最高の美味しさです。従って、うどんは米の様に元々素材自体の加工度が低くても 美味しく食べられる食品ではなく、 複雑な加工によって初めて美味しくなる食品です。 そのため、加工方法が間違っていると全然美味しいうどんにはなりません。純手打ちうどんが機械打ちより美味しいとかという議論が良く交わされるが、 美味しいうどんは手打ちであろうが、機械打ちであろうが、 上記の美味しいうどんの製法の原理原則を理解しないとできないのです。 澱粉を加えて粘りを出すなどはもっての他です。 それは美味しいうどん作りのノウハウが無いのをブレンドして誤魔化しているだけです。大和製作所では、うどんの製法についての教科書があります。 2024年に完全リニューアルされ、新しくなっております。気になる方はぜひお問合せください。 →新しくなった「うどんの製法」教科書はこちら
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