うどんの画像

連載全3回のうち第2回目

作成:讃匠 麺研究センター

収益の上がる可能性はあるのか、慈善事業になっていないのか-2

目次

3.お客さまの深層心理の理解、 ビジネスの本質は、お客さまの問題解決の続きです。

参考事例①スターバックス

スターバックスのコンセプトは第三の場所の提供です。
第一の場所は家庭、第二の場所は学校とか、職場、 従って、家庭でもなく、学校とか、職場でもない、 美味しいコーヒーの香りのする、雰囲気の良い、 心地良い場所の提供こそが、スターバックスのコンセプトなのです。
従って、このコンセプトの一貫性を貫く為に、 FC展開は一切やらず、直営店だけの展開をしています。
食べる時の音が雰囲気を壊すので、 ナイフとフォークを使う本格的な食事は提供しません。
全店店内禁煙で、アルコールも一切提供しません。 従って、お客様の滞留時間は長いのです。 お店の形態は、同じ様にセルフサービスタイプのコーヒーショップですが、 コンセプトが違いと、コンセプトの一貫性の差によって、 内容が全く違ってきます。

参考事例②骨付き鶏 一鶴:強いブランドと強い商品力

私の地元、香川県、丸亀市には、本場さぬきうどんではなく、 大変繁盛しているレストランがあります。
平日の夜でも300席の店に行列が出来る凄いレストランで、 香川県で生ビールの消費量がトップです。 そのお店は鶏のもも肉を焼いた骨付き鶏の専門店です。
昭和27年10月24日(創業日はたまたま当社と全く同じ、 当社は昭和50年10月24日)からですが、

当初はおでんとお好み焼きの店としてスタートしました。
昭和28年に創業者がオーブンで焼いた、骨付き鶏を考案しました。 豪快にかぶりつく贅沢感とスパイシーな味が評判になりました。 一鶴の骨付き鶏は、実は映画から生まれたそうです。 創業者が外国映画で、 女優が骨の付いたもも肉にかぶりつくシーンを見て思いついたそうです。
試行錯誤を繰り返し、様々なスパイスをブレンドして出来たのが、 現在の骨付き鶏だそうです。

以来、70年近くに亘って、骨付き鶏一本で大成功してきています。 このレストランの一番の強みは商品力です。
インパクトのある、ライバルが真似の出来ない、 強い看板商品を持っている事です。 そしてそれが店名と共に、ブランドになっています。 店名の一鶴は、素晴らしい店名です。 鶴は鳥の中でも最高の一番高級な鳥で、 更にその中でも一番と謳っています。
一鶴の成功は店名と、長きに亘って、 看板商品を大切に守って来た事が大成功の要因になっています。
創業してからの60年間は、外食の成長期に遭遇しているので、 多くの企業は様々な商品を投入しました。 その間にハンバーグとか、沢山の商品が市場に導入されました。 ところが、一鶴は一貫性を持って、 骨付き鶏だけを看板商品として守ってきました。 これは、一鶴という鳥に因んだ、ブランドとコンセプトを、 一貫性を持って守って来た事です。

因みに、一鶴のコンセプトについて、 私の見解は、「お客さまのストレス発散の場の提供」です。
骨付き鶏の提供はあくまでのお客さまの問題解決の手段なのです。 創業者から少なくとも2代か、3代は代替わりしています。 それだけ、永く繁盛し、継続しているのです。
従って、創業者の努力、遺産が無駄にならずに、次の世代に受け継がれ、 現代まで脈々と受け継がれていて、その遺産の蓄積の上に、 次の経営者は更に新しい遺産を残し続けているのです。 このように、同じように麺ビジネスを始めるにあたっても、 50年後、100年後、或いはその先まで見据えてビジネスを始めるのと、 そうでないのとでは、得られる結果が全く異なります。
せっかく、たった1回しかない貴重な人生を生きているので、 この人生を有効に活かし、 次の世代に汗と涙と努力の財産を残していきたいです。

4.AI時代のビジネスは、生産性の高さは最低必要事項
どの位であれば、高い生産性と言えるのか

これからの時代は必ずAIの時代に入っていきます。
AIは、様々なビジネスにおいて生産性を飛躍的に向上させる 可能性を秘めています。 AIだけに振り回されずに、人間にしか出来ない分野にウエイトを置き、 その上で、AIでの情報を加味しています。
AI技術を活用して、顧客のニーズをしっかりと把握することが重要です。 この分野もAIだけに頼るのではなく、 現実のお客さまをシッカリ向き合うことが大切です。

顧客の好みや要望を分析し、 それに応じた商品やサービスを提供する必要があります。
AIは、ビジネスの生産性を劇的に向上させる多くの方法を提供しています。自動化、データ分析、イノベーション、人材活用、顧客体験の向上、コスト削減など、AIの導入により、企業はかつてない効率性と効果を達成しています。しかし、AIがどれほど進化しても、人間にしかできない、または人間が優位性を持つ分野も存在します。

AIは業務プロセスの自動化を可能にし、ルーティン業務や反復的なタスクを迅速かつ正確に処理します。
例えば、データ入力、メールの仕分け、カスタマーサポートの自動応答などです。複数のアプリケーション間でのデータ移行や処理を自動化し、ヒューマンエラーを減らし、速度を向上させます。 データ解析においてもAIは強力なツールです。大量のデータを迅速に分析し、パターンやトレンドを見つけ出すことで、企業は市場動向を把握し、迅速かつ正確な意思決定を行うことができます。
こうしてAIが多くの業務を自動化し、効率化する一方で、人間にしかできない分野も多く存在します。

アート、デザイン、音楽、文学など、独創的なアイデアや作品を生み出す能力は人間の特有のスキルです。全く新しいコンセプトやビジネスモデルを考案する能力は、人間の創造的思考が必要なのです。

また、他者の感情を理解し、共感し、適切に対応する能力は人間に特有です。
カウンセリング、介護、教育など、人と人との関わりが重要な分野では、感情的知能が重要です。
社会的影響や倫理的問題を考慮した意思決定を行う際にも、人間の価値観や社会的な理解が重要となります。
長期的な視点でビジネス戦略を策定し、変化する市場環境に適応する能力は、人間の洞察力と経験に基づいています。
チームを鼓舞し、導き、モチベーションを高める能力は人間にしかないリーダーシップスキルによります。
さらに言えばグローバルなビジネスでは、文化的な敏感さが成功の鍵となります。異なる文化や社会背景を理解し、適切に対応する能力は人間の経験と知識に基づきます。

要するにAIと人間の協働が重要なのです。AIがルーティン業務を担当し、人間が創造的で戦略的な業務に集中することで、総合的な生産性とイノベーションが向上します。AIの導入により、ビジネスの生産性は飛躍的に向上しますが、人間にしかできない役割を理解し、効果的に活用することが、持続可能な成長を遂げる鍵となるのではないでしょうか。

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