連載全2回のうち第1回目
作成:讃匠 麺研究センター
小さな店の大逆転法
では、小さな店の取るべきさまざまな戦略を紹介します。
① アドバンテージ・マトリックス(競争変数を増やす方法)
うどん業界はセルフの大手企業が成功し、ラーメン業界には大手企業が存在しません。
その大きい違いは、ラーメン業界は、麺、スープ、元ダレ、香味油と差別化要因即ち、
競争変数が非常に多いラーメン業界は、うどん蕎麦業界と比べて大変活性化している為だと考えられます。
ボストン・コンサルテイング・グループが提唱しているアドバンテージ・マトリックスによれば、
競争変数が多ければ多いほど、企業規模が大きくなるほど、儲からなくなり、大企業は参入出来ないのです。
ラーメン業界はこのまさに状態だと言えるでしょう。
従って、麺、だし、トッピング、盛り付け、サービス方法、店舗作りとあらゆる方向で他店の真似をせずに、
差別化要因を徹底的に増やすことがこれからの課題です。
②際立った個性を発揮
芸能界での長く生き残っているタレント、俳優、女優は
強力な個性のある人だけで、美男子であるとか、美人であっても
長く生き残ることは出来ないのです。
これはビジネスでも同じで、
自動車業界のような数量で勝負する業界でも、
販売台数の非常に少ないフェラーリとかポルシェ、
ロールス・ロイスはしっかり生き残っています。
これらの共通点は他の車と全く異なる圧倒的な差別化で
成功しているというところです。
過去にめぐった、北米のレストランビジネスも
全く同様で長く成功しているのは、
圧倒的な個性を打ち出して成功している店舗ばかりでした。
どんなビジネスにおいてもこの原理原則は同じで、
うどん業界でも、「つるとんたん」のように圧倒的な差別化で
強いポジションを築いているお店があり、
永く成功しているのは、強い個性を打ち出して成功している店舗ばかりです。
③絶対に、競争をしない、競争をしないで勝ちましょう。
ライバルとバッテイングする様なことは一切してはいけません。
(事例)
営業時間を変える
業態を変える
④使命、コンセプト、ビジネスモデルを明確にしましょう。
焦点を絞る、フォーカスします。
(参考)
スターバックスのコンセプトは第三の場所
コンセプトと、コンセプトの一貫性を大切にすることが重要です。
⑤上質に徹しましょう。
(参考)
上質とお手軽の違い
殆どのビジネスは上質でもなく、お手軽でもなく、
中間の不毛地帯でやっている為に、うまくいっていないのです。
ビジネスでの成功は、上質か、お手軽かのどちらかしかありません。
但し、お手軽は規模が大きくないと、成功せず、
但し、上質は高級とは意味が違います。
⑥お客様を明確にし、絞りましょう。
絞り込んだお客様にフォーカスします。
誰でもがお客様にはなりません。
⑦プロ意識に徹しましょう。
常に期待以上であることが重要です。
そして細部にこだわりましょう。
⑧徹底的に回転率を上げる
回転率の上がる様な席の取り方をしましょう。
(事例)18席のカウンターだけの店
(参考)粉太製麺の事例
⑨インパクトのあるOutstandingを目指しましょう。
Outstandingなレベル、内容Outstandingな高い価値、
基準を目指すことが重要です。
行列の出来ている麺専門店は全てOutstandingな
商品力か、店舗力か、サービス力で勝負しています。
要するに行列の麺専門店は普通の店ではない、
強烈なインパクトがあります。
Outstandingでないと通用しない原因は
情報伝達の急加速化、情報価値の急激な低下です。
価値基準が大幅に変わって来ました。(パラダイムシフトが起きた)
⑩狭い地域での、地域1番店になることです。
2番店ではいけません。
どのジャンルで地域1番店になるか?
ということが重要です。
⑪何が何でも繁盛店にすることです。
その為には、話題性、インパクト、特徴が必要です
⑫自分自身の強みを活かすことです。
商品力、店舗力、サービス力、
そしてスタッフたち、関係者の強みを活かしましょう。
⑬地域の強みを活かすことです。
地理的特徴や、産物、歴史、地理的、文化、遺跡などです。
⑭ランチェススター戦略
ランチェススター戦略とは、弱者が強者に勝つための戦略です。
経営戦略でマーケティングを行う際に、
「強者の視点」「弱者の視点」で分析していく手法のことです。
ランチェスター戦略の由来は、
第一次世界大戦の時代に戦闘機を開発していた
イギリス人のフレデリック・W・ランチェスター氏の
名前から名付けられています。
元から仕事やビジネスで取り入れていたわけではなく、
戦争で勝つための戦略でした。第二次世界大戦では、
米軍が応用していたほど圧倒的に優れている戦略です。
ランチェスター戦略には2つの法則があります。
第一法則と第二法則をビジネスの世界に当てはめて考えた場合、
基本的に大企業ほどリソース(兵士)の数が多いので、
第二法則を適用して戦っても中小企業はまず勝てません。
しかし、第一法則なら商品・サービス(武器)の質で勝負できるため、
中小企業が大企業に勝てる可能性も出てくるのです。
また、リソースについても大企業ほど数は増やせませんが、
工夫次第である程度はカバーできます。
このような考え方から第一法則は「弱者の法則」、
第二法則は「強者の法則」と呼ばれています。
弱者は強者と同じように戦えないため、
弱者の法則から経営戦略を立てることが大切です。
ランチェスター戦略三つの結論
(1)ナンバーワン主義
地域→顧客(得意先)→製品の順でNO1を作ってゆくことです。
(2)足下の敵攻撃の原則
・競争目標は自分より上位の相手とする(差別化戦略)
・攻撃目標は自分より「下位」の相手とする(ミート戦略)
(3)一点集中主義。
地域、顧客、商品を細分化し、
その中の何に狙いを定めるのか優先順位を決め、
そこに集中することです。
以上より、新規開業者が最初に行わなければいけない
ビジネスの特徴は下記の通りです。
①上質志向のビジネスを実現することです。
②ビジネスを単純化しない、複雑にする。
複雑にするほど、ライバルは追随出来ない複雑にするほど、
スタッフのレベルが上がります。
リスクから逃げないことが重要です。
(事例)
はなまると丸亀製麺大和製作所自家製麺の導入
③競争変数の多い、複雑なビジネスを目指すことです。
④一番を目指しましょう。
⑤限定をつくることです。
需要と供給のバランスを見ることが重要です。
⑥95点以上の完成度の高さを実現することです。
(事例)ディズニーランド
⑦ブレない一貫性を持つことです。
⑧ポリシーが必要です。
明確なコンセプトを持ちましょう。
(参考)
飲食ビジネス=料理×アート×サイエンス×ユーモア×哲学
⑨文化を大切にすることです。
(事例)
マクドナルド、コカコーラ、ハーレーダビッドソン
⑩顧客を限定しましょう。
最初から特定客だけを対象にして、その他を排除します。
(事例)
ラーメン二郎、モス、スターバックス
小さな店の大逆転戦略を実行し、
あなたの夢に向かって、情熱とパワーで大成功させましょう。
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