うどんの画像

連載全2回のうち第1回目

作成:讃匠 麺研究センター

大型店の進出に立ち向かう小規模店の生き残り戦略

目次

小さな店の大逆転法

4.小さい店の取るべき戦略

では、小さな店の取るべきさまざまな戦略を紹介します。

① アドバンテージ・マトリックス(競争変数を増やす方法)

うどん業界はセルフの大手企業が成功し、ラーメン業界には大手企業が存在しません。
その大きい違いは、ラーメン業界は、麺、スープ、元ダレ、香味油と差別化要因即ち、 競争変数が非常に多いラーメン業界は、うどん蕎麦業界と比べて大変活性化している為だと考えられます。
ボストン・コンサルテイング・グループが提唱しているアドバンテージ・マトリックスによれば、 競争変数が多ければ多いほど、企業規模が大きくなるほど、儲からなくなり、大企業は参入出来ないのです。
ラーメン業界はこのまさに状態だと言えるでしょう。
従って、麺、だし、トッピング、盛り付け、サービス方法、店舗作りとあらゆる方向で他店の真似をせずに、 差別化要因を徹底的に増やすことがこれからの課題です。


②際立った個性を発揮

芸能界での長く生き残っているタレント、俳優、女優は 強力な個性のある人だけで、美男子であるとか、美人であっても 長く生き残ることは出来ないのです。
これはビジネスでも同じで、 自動車業界のような数量で勝負する業界でも、 販売台数の非常に少ないフェラーリとかポルシェ、 ロールス・ロイスはしっかり生き残っています。
これらの共通点は他の車と全く異なる圧倒的な差別化で 成功しているというところです。
過去にめぐった、北米のレストランビジネスも 全く同様で長く成功しているのは、 圧倒的な個性を打ち出して成功している店舗ばかりでした。
どんなビジネスにおいてもこの原理原則は同じで、 うどん業界でも、「つるとんたん」のように圧倒的な差別化で 強いポジションを築いているお店があり、 永く成功しているのは、強い個性を打ち出して成功している店舗ばかりです。


③絶対に、競争をしない、競争をしないで勝ちましょう。
ライバルとバッテイングする様なことは一切してはいけません。

(事例)
営業時間を変える
業態を変える


④使命、コンセプト、ビジネスモデルを明確にしましょう。
焦点を絞る、フォーカスします。

(参考)
スターバックスのコンセプトは第三の場所
コンセプトと、コンセプトの一貫性を大切にすることが重要です。

⑤上質に徹しましょう。

(参考)
上質とお手軽の違い 殆どのビジネスは上質でもなく、お手軽でもなく、 中間の不毛地帯でやっている為に、うまくいっていないのです。
ビジネスでの成功は、上質か、お手軽かのどちらかしかありません。
但し、お手軽は規模が大きくないと、成功せず、 但し、上質は高級とは意味が違います。

⑥お客様を明確にし、絞りましょう。

絞り込んだお客様にフォーカスします。
誰でもがお客様にはなりません。


⑦プロ意識に徹しましょう。

常に期待以上であることが重要です。
そして細部にこだわりましょう。


⑧徹底的に回転率を上げる

回転率の上がる様な席の取り方をしましょう。
(事例)18席のカウンターだけの店
(参考)粉太製麺の事例


⑨インパクトのあるOutstandingを目指しましょう。

Outstandingなレベル、内容Outstandingな高い価値、 基準を目指すことが重要です。
行列の出来ている麺専門店は全てOutstandingな 商品力か、店舗力か、サービス力で勝負しています。
要するに行列の麺専門店は普通の店ではない、 強烈なインパクトがあります。
Outstandingでないと通用しない原因は 情報伝達の急加速化、情報価値の急激な低下です。

価値基準が大幅に変わって来ました。(パラダイムシフトが起きた)

⑩狭い地域での、地域1番店になることです。

2番店ではいけません。
どのジャンルで地域1番店になるか?
ということが重要です。


⑪何が何でも繁盛店にすることです。

その為には、話題性、インパクト、特徴が必要です


⑫自分自身の強みを活かすことです。

商品力、店舗力、サービス力、 そしてスタッフたち、関係者の強みを活かしましょう。


⑬地域の強みを活かすことです。

地理的特徴や、産物、歴史、地理的、文化、遺跡などです。


⑭ランチェススター戦略

ランチェススター戦略とは、弱者が強者に勝つための戦略です。
経営戦略でマーケティングを行う際に、 「強者の視点」「弱者の視点」で分析していく手法のことです。
ランチェスター戦略の由来は、 第一次世界大戦の時代に戦闘機を開発していた イギリス人のフレデリック・W・ランチェスター氏の 名前から名付けられています。
元から仕事やビジネスで取り入れていたわけではなく、 戦争で勝つための戦略でした。第二次世界大戦では、 米軍が応用していたほど圧倒的に優れている戦略です。
ランチェスター戦略には2つの法則があります。

  • 第一法則
    局地戦・接近戦・一騎打ち戦に適用。
    兵士の数もしくは武器効率で勝敗が決まる。
    「戦闘力=武器効率×兵力数」

  • 第二法則 局地戦・接近戦・一騎打ち戦に適用。
    確率戦に適用。
    兵士の数で勝敗が決まる。
    「戦闘力=武器性能×兵士数の二乗」

  • 第一法則と第二法則をビジネスの世界に当てはめて考えた場合、 基本的に大企業ほどリソース(兵士)の数が多いので、 第二法則を適用して戦っても中小企業はまず勝てません。
    しかし、第一法則なら商品・サービス(武器)の質で勝負できるため、 中小企業が大企業に勝てる可能性も出てくるのです。
    また、リソースについても大企業ほど数は増やせませんが、 工夫次第である程度はカバーできます。
    このような考え方から第一法則は「弱者の法則」、 第二法則は「強者の法則」と呼ばれています。
    弱者は強者と同じように戦えないため、 弱者の法則から経営戦略を立てることが大切です。

    ランチェスター戦略三つの結論
    (1)ナンバーワン主義
    地域→顧客(得意先)→製品の順でNO1を作ってゆくことです。
    (2)足下の敵攻撃の原則
    ・競争目標は自分より上位の相手とする(差別化戦略)
    ・攻撃目標は自分より「下位」の相手とする(ミート戦略)
    (3)一点集中主義。
    地域、顧客、商品を細分化し、 その中の何に狙いを定めるのか優先順位を決め、 そこに集中することです。

    5.結論

    以上より、新規開業者が最初に行わなければいけない ビジネスの特徴は下記の通りです。
    ①上質志向のビジネスを実現することです。

    ②ビジネスを単純化しない、複雑にする。
    複雑にするほど、ライバルは追随出来ない複雑にするほど、 スタッフのレベルが上がります。
    リスクから逃げないことが重要です。
    (事例)
    はなまると丸亀製麺大和製作所自家製麺の導入

    ③競争変数の多い、複雑なビジネスを目指すことです。

    ④一番を目指しましょう。

    ⑤限定をつくることです。
    需要と供給のバランスを見ることが重要です。

    ⑥95点以上の完成度の高さを実現することです。
    (事例)ディズニーランド

    ⑦ブレない一貫性を持つことです。

    ⑧ポリシーが必要です。
      明確なコンセプトを持ちましょう。
    (参考)
    飲食ビジネス=料理×アート×サイエンス×ユーモア×哲学

    ⑨文化を大切にすることです。
    (事例)
    マクドナルド、コカコーラ、ハーレーダビッドソン

    ⑩顧客を限定しましょう。
    最初から特定客だけを対象にして、その他を排除します。
    (事例)
    ラーメン二郎、モス、スターバックス

    小さな店の大逆転戦略を実行し、 あなたの夢に向かって、情熱とパワーで大成功させましょう。

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