うどんの画像

連載全3回のうち第1回目

作成:讃匠 麺研究センター

うどん用製麺機の違いと出来るうどんの品質と生産性の違い

目次

0. 最高に美味しいうどん作りで、最も注意しなければいけない点

もともと、うどんは全て手作業で作っていて、その頃は手打うどんと呼ばれていました。
しかし、現在は純粋な手打ちうどんは生産性が上がらないので、ほとんどのうどん店は製麺機を使う様になっています。
手打と製麺機の最も大きな違いは、手で麺を作る場合に、麺生地に加わる人間の力は決して大きな力ではありません。
手の力を器用に利用して、美味しいうどんを作っていたのを最近の製麺機は、 寸分変わらないような美味しいうどんを製麺機で簡単に作れるようにしているのです。 要するに、製麺機は手の延長線上のテクノロジーなのです。 そこで一番重要なことは、うどんの生地は生きものであるという理解です。 うどんの生地は生きものです。 一旦、生地の組織が破壊されると、2度と元へは戻りません。
従って、手打ち製法と同じ様に、麺生地に過大な力を加えて、 麺生地を破壊しないことです。 手打のプロ中のプロが打つうどんは最高に美味しいうどんです。 当社は、製麺機がそれに負けない麺作りに挑戦し続けてきたのです。

1.各種製麺方法と生産性

手打VS、手打ち式製麺機VSロール式製麺機のカテゴリー表は 下記の図の通りです。
高品質だが、生産性の低いのは、手打ち式で作成した麺。
高品質かつ、生産性が高いのは、手打ち式製麺機で作った麺。
低品質だが、生産性が高いのはロール式製麺機で作成した麺です。

2.うどん製法の中で、最も重要な工程は?

うどんの製法の中で一番重要なのは、 煉りと熟成、鍛え工程です。
麺生地を一度壊してしまったら、2度と元へ戻らないのです。 ここで、美味しい麺作りのまとめを簡単に 紹介してみましょう。

① 麺の種類にあった適正なミキシング時間と回転数
ミキシングとは、小麦粉の一粒一粒に水分を均一に行き渡らせる作業 です。
攪拌造粒の原理でミキシングを行い、 無理な力を麺生地にかけて、ストレスを与えないことが重要です。

② ミキシングの後は必ず寝かせる(第一熟成)
必ず、内部応力(ストレス)を緩和してから次工程へ進みましょう。

A)熟成と発酵の違い
肉を一定期間熟成させた熟成肉も近年ブームになり、 今「発酵」、「熟成」食品が注目されています。
「発酵」と「熟成」は、食材が一定期間を経て 美味しく変化するという点は同じですが、違いは下記の通りです。
発酵とは食材に付着した菌やカビなどの微生物がたんぱく質や糖質を分解し、 うま味の素となるアミノ酸やアルコールなどを作り出し、 人が食べて美味しいと思う状態に変化させることです。
同じ原理でも、人が食べられないと思うものが腐敗です。
麹菌や乳酸菌、酵母菌といった微生物により、 味噌、醤油、ヨーグルト、チーズ、ワインなどの発酵食品が作り出され、 発酵には微生物の働きが欠かせないのです。
一方、肉の熟成の場合、 微生物ではなく肉がもともと持っている酵素によって たんぱく質などの分解が行われます。
近年話題の熟成肉は食肉を一定期間保存することで、 肉の自家酵素によりたんぱく質が分解され柔らかくなり、 アミノ酸が増加した結果味も美味しくなります。
(清酒、ウイスキーなど酒類の熟成は、保存・貯蔵中に起きる化学的変化。)

つまり食材が変化する過程に、 微生物が介在するかどうかが発酵と熟成の大きな違いです。
しかし、例えば味噌は米に麹菌をつけて発酵させ、 発酵の段階が終わると麹菌由来の酵素により熟成の段階に入るなど、 実際には発酵と熟成のはっきりとした線引きは難しいのです。
最初は偶然の産物だったとも言われているが、 長い歴史の中で先人達の知恵が詰めこまれた「発酵」、「熟成」食品。
味わい豊かなうま味や芳醇なコクや香りが、 発酵、熟成により醸し出されます。
従って、美味しい食品作りに欠かせないものが、 発酵と熟成であり、化学調味料に頼らない、 自然な旨味を作り出す方法なので、 発酵と熟成を食品作りに有効に利用することは、 現在課題のSDGsを促進する上でも、非常に大きな価値がある のです。

B)熟成に欠かせない酵素とは?
熟成には、酵素の働きが欠かせないのですが、 酵素の特長とは、下記のようなものです。
酵素とは、「生物の細胞内でつくられるタンパク質由来の触媒」。 酵素は、私たちが生きていく上で欠かせない、 ありとあらゆる生命活動に必ず必要なもの。
酵素とは触媒作用を持つタンパク質、 酵素とは、私たち生物の体内で働く触媒なのです。 その特徴として、酵素はタンパク質で作られています。
また、酵素は特定の温度で働きます。 酵素の働きの一つである触媒とは、 特定の化学反応の速度を早める物質のことを触媒と言い、 酵素自身は反応の前後で変化しないのです。 酵素がないと人間は生きていけないし、 人間の生命活動には、ありとあらゆるところで酵素が働いています。
呼吸をはじめ、食べ物の消化・吸収、代謝、排泄といった 生命活動において酵素が重要な役割を果たしています。
つまり、私たち人間は酵素によって 生かされているといっても過言ではないのです。