うどんの画像

連載全3回のうち第2回目

作成:讃匠 麺研究センター

うどん用製麺機の違いと出来るうどんの品質と生産性の違い

目次

“2.うどん製法の中で、最も重要な工程は?”の続きからです。

C)酵素の性質とは?

酵素は、48度以上の熱で壊れはじめ、 70度を超える熱が加わると完全に失活します。
また、酵素は水分に触れると活性が始まり、 約72時間で失活する性質を持っています。 つまり、作り立てのスムージや酵素ジュースの中の酵素は活性しているが、 市販飲料の酵素は失活しています。 酵素の健康効果は、 栄養学において、最初は三大栄養素である、 炭水化物、たんぱく質、脂質から始まり、 次にビタミン、ミネラルを加えて五大栄養素の 概念が出来上がりました。
次に、食物繊維、酵素、発酵食品等、 われわれが健康であるための栄養素が広がり、 そのうちの1つに酵素が含まれる様になりました。
酵素は、消化や吸収、代謝など、 体内で起こるほぼすべての生命活動に関与していますので、 体内にある酵素の量が少なくなると、体の調子が悪くなっていきます。
そのため、酵素が豊富に含まれる食品を摂ることで、 体内酵素を補い、その結果健康につながるといえます。 体内酵素を増やすこと、そして酵素を減らさないようにすること、 そして酵素を活性化させること、 この3つのポイントを押さえて生活することで、 健康的な生活が実現出来るのです。

D)酵素の体内での働き

酵素には下記の様に、消化酵素と代謝酵素、食物酵素の3種類に分けられます。

(a)消化酵素
消化酵素は、食べたものを吸収できるように消化分解する役割を果たす酵素。主な酵素として、タンパク質をアミノ酸に分解するプロテアーゼ (タンパク質分解酵素)、
炭水化物をブドウ糖に分解するアミラーゼ(炭水化物分解酵素)、
脂肪を脂肪酸に分解するリパーゼ(脂肪分解酵素)等があり、それぞれ分泌される臓器や分解する栄養素によってさらに細分化されます。

(b)代謝酵素
体内に吸収された栄養素を実際に働かせるのが代謝酵素。
呼吸する、運動する、けが治す、細胞分裂させる、肌の新陳代謝を行うなど、 人の生命活動のあらゆる場面でさまざまな代謝酵素が働いている。

(c)食物酵素
食物酵素は、食材に含まれる酵素。 消化酵素を助け、より良い消化活動を補助する働きをしている。
生野菜や果物、お刺身などの新鮮な食品、 味噌や納豆などの発酵食品に豊富に含まれる食物酵素は、 消化を助け、体内の消化酵素の無駄使いを防ぐ役割を果たしている。

E)麺作りと熟成について

私が美味しい麺作りにおいて、熟成工程が欠かせないことを理解したのは、創業間もない頃、真打でうどん作りをしていた時でした。
私は、真打でうどん作りを始めた当初より、麺の美味しさを常に手打ちと比較したり、最高に美味しいと言われているうどん店のうどんと比較したりしていました。
さぬきうどんの本場、香川県には、昔から朝練り即打ちという、うどん作りの言い伝えがあり、うどん作りは早朝から始まり、早朝に練り、練った生地を足で踏んで鍛え、麺棒で圧延して、カットして麺線にして、すぐに茹でるという工程でした。
ところが、その工程通り、幾らうどんを作っても、本当に納得できるような美味しいうどんが出来ず、コツンと硬いうどんになりました。
そこで、なぜ、硬くなく、ソフト感があり、粘り強いうどんにならないのかと、書物を紐解いたり、試作を繰り返しているうちに、
練ってから、寝かしておくと、美味しいうどんになることを発見しました。

昔からの言い伝え通りではなく、練ったあとに、寝かす工程を取ると美味しいうどんが出来るのかを原因を突き止めたのです。
その結果、わかったことは、昔の小麦粉と現在の小麦粉の違いだったのです。
昔は、水車製粉で小麦粉を挽いていたので、全粒粉でしたが、現在の小麦粉は小麦の中心部分しか使っていない、色も白い、酵素活性の非常に低い小麦粉を使っているので、熟成時間を十分に取らないと美味しい麺にならないということだったのです。要するに、昔の小麦粉には、小麦全体を挽いていたので、不純物も多く、酵素活性が高く寝かせる必要がなかったのです。
従って、小麦粉を使う麺作りは、熟成と非常に密接な関係があり、現代の小麦粉で作られた麺は基本的に熟成工程が必要です。

F)うどんの製麺における熟成

a)熟成の作用
●水和作用
ミキシング工程:小麦粉の粒子に対して水分が水和する時間が必要。

●脱気作用
熟成することによって麺生地に含まれている空気が 脱気されてかさの比重が重たくなる。

●内部応力の緩和作用
熟成することによって 麺生地の中に溜まっているストレス(内部応力)を緩和する。

以上の3項目が物理的作用

●酵素の働きによる味の改善
澱粉分解酵素、蛋白分解酵素が澱粉とか蛋白を分解して アミノ酸等に変化させる。

③ 鍛え工程(プレス作業)
グルテンの組織が十分に出来る様に鍛えましょう。 しかし、組織が破壊する様な力は絶対に加えてはいけません。 グルテンの組織形成に十分な力を加えていないと グルテンの組織が十分に出来上がらないのです。

④ 鍛え工程の後は必ず熟成する(第二熟成)
熟成時間は温度との関係で決まります。 温度が高いと熟成時間は短くなり、 温度が低いと熟成時間は長くなります。

⑤ 圧延工程では一気に薄くせずに、
必ず、麺生地の縦横、斜め方向から徐々に薄く圧延します。
製麺機は、大きな力が加わるので、 一気に圧延すると麺生地の組織を破壊してしまいます。
さきほどお伝えしましたが、1度破壊された麺生地は元に戻ることはありません。

⑥ 切断(カット)工程
切断面の縦横比が美味しさの決め手です。 必ず、厚さは薄く、幅方向を大きくしましょう。

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