うどんの画像

連載全3回のうち第3回目

作成:讃匠 麺研究センター

うどん用製麺機の違いと出来るうどんの品質と生産性の違い

目次

3.うどん店のカテゴリー

うどん店の種類は大きく分けて下記の6種類に分類されます。

① 立ち食いうどん
② ファミレスタイプ
③ 大衆うどん店(出前も行なっているような店)
④ セルフ
⑤ 専門店
⑥ 高級専門店

上記それぞれのタイプごとに要求されるうどんのレベルが異なってきますが、 それでも時代の流れで大きく変わってきているのです。
例えば、①立ち食いうどん店の起源は、 江戸時代の屋台で提供されていたそばがルーツと言われています。
しかし、現代のような立ち食いスタイルの店が本格的に普及し始めたのは、 高度経済成長期以降です。
立ち食いうどん店の歴史を簡単にまとめると 江戸時代には、そばの屋台で、 手軽に食べられる麺料理として人気を集めました。

明治時代には、鉄道の発展とともに駅構内にそば屋が登場しました。
時間のない乗客向けに、立ち食いスタイルが定着し始めました。 高度経済成長期の頃は、都市部への人口集中が進み、 忙しいサラリーマンを中心に、 手軽で安価な立ち食いそば・うどんの需要が急増したようです。
駅構内だけでなく、オフィス街や繁華街にも 立ち食いそば・うどん店が次々とオープンしました。 高度経済成長期に、都市部で働く人々が 短時間で食事を済ませたいというニーズが高まり、 立ち食いスタイルが広く受け入れられたのです。

②のファミレスタイプは、子供から老人まで、多くのファミリーに当てはまる様に、 メニューの幅が広く、うどんだけではなく、さまざまな和食、洋食を一緒に提供しています。
その為に、多くのファミレスタイプの店は、製麺作業がなく、調理の簡単な冷凍麺を使っていることが多いのです。
しかし、一部のうどん蕎麦に拘った店舗では社内での自家製麺で高品質なうどんを提供しているお店もあります。

③大衆うどん店(出前も行なっているような店)は出前の途中で、茹で延びしない比較的に硬い麺を使う場合が多いのです。 その場合は、手打ち式製麺機での自家製麺よりもロール式製麺機での自家製麺が多いようです。

④セルフうどん店は20年近く前から、スタートしたセルフのうどん店は、チェーン化して日本中を席巻し、 現在は、大手のチェーン店はグローバル化に成功し、世界中に店舗を拡張して来ています。 その中で、店頭で自家製麺を実演で見せながら、非常に成功したチェーン店もあり、 麺の美味しさと価格の安さを売りにしている店舗が非常に成功しています。

従って、セルフうどん店の競争は厳しく、美味しさと生産性で各チェーン店が競い合っています。 この影響を大きく受けたのが、街のうどん店、蕎麦店で、過去の価格が通用しなくなり、業界に淘汰が起きたのです。

⑤うどん専門店は、セルフのうどん店とは、一線を画し、フルサービスでの提供が基本です。 上記ののセルフうどん店が日本のうどん蕎麦店市場に参入し、大きく影響を受けたのがこの専門店で、 価格的に、比較的高い割に、品質の伴なっていなかった多くのうどん蕎麦店が淘汰されたのです。

但し、このジャンルでも高い品質で、価格もそれなりに高く、美味しいうどんで人気を集めているお客さまも残っています。 価格勝負ではなく、うどんの品質で勝負することが重要になって来ているのです。

⑥ 高級うどん専門店のジャンルの多くは都会で成功し、その中の1つが「つるとんたん」です。 うどん料理を割烹のような店とか、きれいな店舗で提供し、価格もそれなりに高価格で、 メニューも創作メニューとか、意表を突くようなメニューが多く、新しい日本のうどん文化のリーダー的な役割を担っています。 これからの日本のうどん文化を象徴するような店舗であり、セルフのような安い価格との対比のお店です。

上図の様にうどん店の世界は、ジャンルが幅広く、 これから更にジャンルの広がりが考えられます。

4.うどん店カテゴリーにおいて、品質VS価格のマトリクス図

私が美味しい麺作りにおいて、熟成工程が欠かせないことを理解したのは、創業間もない頃、真打でうどん作りをしていた時でした。
私は、真打でうどん作りを始めた当初より、麺の美味しさを常に手打ちと比較したり、最高に美味しいと言われているうどん店のうどんと比較したりしていました。
さぬきうどんの本場、香川県には、昔から朝練り即打ちという、うどん作りの言い伝えがあり、うどん作りは早朝から始まり、早朝に練り、練った生地を足で踏んで鍛え、麺棒で圧延して、カットして麺線にして、すぐに茹でるという工程でした。
ところが、その工程通り、幾らうどんを作っても、本当に納得できるような美味しいうどんが出来ず、コツンと硬いうどんになりました。
そこで、なぜ、硬くなく、ソフト感があり、粘り強いうどんにならないのかと、書物を紐解いたり、試作を繰り返しているうちに、
練ってから、寝かしておくと、美味しいうどんになることを発見しました。

昔からの言い伝え通りではなく、練ったあとに、寝かす工程を取ると美味しいうどんが出来るのかを原因を突き止めたのです。
その結果、わかったことは、昔の小麦粉と現在の小麦粉の違いだったのです。
昔は、水車製粉で小麦粉を挽いていたので、全粒粉でしたが、現在の小麦粉は小麦の中心部分しか使っていない、色も白い、酵素活性の非常に低い小麦粉を使っているので、熟成時間を十分に取らないと美味しい麺にならないということだったのです。要するに、昔の小麦粉には、小麦全体を挽いていたので、不純物も多く、酵素活性が高く寝かせる必要がなかったのです。
従って、小麦粉を使う麺作りは、熟成と非常に密接な関係があり、現代の小麦粉で作られた麺は基本的に熟成工程が必要です。

F)うどんの製麺における熟成

5.どの製麺機があなたのビジネスに最もフィットしている?

コストパーフォーマンスが最も高いのか?
製麺機の価格と性能(麺の品質と生産性)はどんな麺がどの程度の能力で生産出来るかにより、 上図のように、製麺機の価格と出来上がるうどんの品質の関係が分かります。

製麺機は、今後さらにあらゆる機能を要求され、 そしてその度に進化を遂げていくことでしょう。
けれども、飲食産業および製麺機がどれほど進化しようとも変わらないことがあります。
それは『“美味しい”とは、お客様の満足度とリピート率を変えるチカラ』 であるということ。 なぜ製麺機に美味しい麺を作る能力が1番に要求されるのかというと、 製麺機が実はあなたのお店を繁盛させるための、 重要な鍵となる代物だからなのです。
美味しさは、店主を満足させるだけに留まるものではありません。
飲食産業においては、美味しさはお客様を呼び寄せるための最強の武器です。
だからこそ、飲食産業においては、美味の追求が不可欠なのです。
どうぞこれだけは、お忘れにならないで下さい。

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