うどんの画像

連載全3回のうち第2回目

作成:讃匠 麺研究センター

美味しいうどんを作るためのうどん用製麺機の正しい使い方:ミキサー編

目次

“2.あなたの持っている製麺機の特徴を理解して使っていますか?”の続きからです。
ミキサーメーカーの中には、ミキサーで練る工程だけでなく、 次工程に当たる麺生地の鍛え工程も同時に行なっているメーカーがあります。
そのような場合の一番の問題は、ミキサーで小麦粉に加水をして煉った場合に、 小麦粉の麺生地には、手練りでは加わらない、大きな外力がミキサーから加わり、 麺生地の組織が内部的に破壊されてしまっている場合が多いのです。
麺生地も人間と同じで、一度破壊されて死んでしまったものは生き返らないのです。
従って、6分以上の長時間うどん生地を煉っていると、麺生地の組織が破壊され、 こつんと硬いうどんになるだけでなく、適切な製法で作られたうどんと比べて、 茹で時間が約2倍になってしまいます。

3.ミキサー胴の形状で、多角形の形状で、麺生地があらゆる方向に方向を変える「シルキーミキサー」

ミキサーはもともと、手練りの手作業の代わりで、手の延長上のテクノロジーなのです。
従って、手作業をいかに正確に機械に置き換えることが出来ているかが大切なのです。
上記2.で述べた様に、当社は攪拌造粒の原理をミキサーに応用しています。
手で小麦粉を捏ねる場合、先ず水分が全体に、均一に分散する様に、出来るだけ小さい粒になる様に、 指先で、生地を分解します。
この時点で、塊を作ってしまうと、この塊の中の水分が、他の水分が少ない部分へ行き渡らなくなるのです。
従って、この「指先の役目をいかにミキサーが再現できるか」が大切になります。
下図が当社のシルキーミキサーン概念図で、ミキサーの回転方向に対して、麺生地がミキサー胴の中で、 羽根の動きに合わせて、ミキサー胴の右側部分で、麺生地がミキサー胴から離れて、麺生地の中に放り込まれる構造になっています。
この構造が、煉った麺生地が非常に細やかで、均一な粒状になり、少加水の場合は、パウダースノウ状に煉りあがります。

ミキサー胴全体図ミキサー胴全体図         ミキサー胴形状

4.ミキシング作業での大きな間違い

①捏ね過ぎ注意
まず、ミキサーで捏ねるにも、捏ねすぎるとグルテン組織をねじ切ってしまいます。
長時間ミキシングなんかは、もっての外! 生地が傷んで、茹で時間が長くなってしまいます。
当社の試験で、
a)「ミキサーで5分捏ねる」
b)「ミキサーで15分捏ねる」
という比較試験をしました。

それぞれ、小麦粉、加水率、熟成、カットサイズ(厚さ3mm×巾4mm)等は同じ条件です。
そうすると、茹で時間がa)の場合8分、 b)の場合16分となりました。
ミキサーは大変大きな力を出しますから、長時間捏ねるとグルテン組織を傷めてしまう訳です。
余談ですが、ニーダーをご使用の場合は、回転が遅いので、 5分のミキシングでは、粉でパサパサの部分があったり、水が多く、どろどろの部分ができます。 結局、麺の茹で時間は、16分~20分が普通となります。
回転が遅くても、長時間のミキシングは大変問題です。

②ミキシングは、5分で終える
5分のミキシングでも、生地の中のグルテン組織は、ほぼ極限まで緊張しています。 これ以上ミキシングを続けたり、ミキシング直後にプレスを行うと、 緊張したグルテンは、緊張に耐えられなくなり、破壊してしまいます。 この辺が「鍛えすぎると生地の組織を破壊する」という現実なのです。 長時間練のミキサーをご使用の方には大変申し訳ない話ですが、 長時間ミキシングではどうしても生地のグルテン組織が破壊されてしまうので、 後の製麺工程をどのように改善しても、茹で時間を短縮することはできません。
茹で時間が長いと、燃料費がかさむのは勿論、麺の旨味も茹で釜に逃げてしまいます。 お客様も待たされるので、リピートにつながりにくくなります。