うどんの画像

連載全3回のうち第3回目

作成:讃匠 麺研究センター

美味しいうどんを作るためのうどん用製麺機の正しい使い方:ミキサー編

目次

“4.ミキシング作業での大きな間違い”の続きからです。
③ミキシングする際の粉(生地)の量
小麦粉に一度に水分を加えると、水分の多い塊が出来ます。
この塊をミキサーの羽根が分割し、水分の少ない部分と混合する事で、水分が均一に分散します。
生地の中を移動するミキサーの羽根との相互作用で生地に力が加わり、 生地が煉られる訳ですが、生地が多いと、生地の重さが掛かっている中をミキサーの羽根が移動するので、 相互作用(煉る力)は強く働きます。
ところが、生地の量が少ないと、この相互作用が弱くなるので、 ミキシング時間を長くする必要が生じます。
加水率や、粉の量で状態が変わりますので、生地の様子を観察しながら、ミキシング時間をコントロールします。 手打ち式の生地を作る場合、一般的には、ゴルフボールサイズのダマが出来るのを目安としています。

④まとめ
これまで述べてきたように、捏ねすぎ、鍛えすぎは、 かえって生地を傷めてしまう訳で、捏ねる時間が長すぎると、 グルテン組織を傷めてしまいます。
当社のミキサーにおいても、捏ね時間は、5分に止めるわけですが、 捏ね始めは、用意した加水を1/2だけ加えます。
このままで、最初の4分をミキシングします。
この時点では、まだまだ加水が少なく、生地はパサパサ状態です。 ここまでは、小麦粉と塩水を馴染ませるわけで、 いわゆる「捏ねる」というようなグルテン組織を鍛えるには加水が不足する状況です。
この時点では撹拌造粒という理論に基づいて、 ミキサーの胴の中に均一な小さい粒々を作っていきます。 この後、残りの1/2を加水します。 そして、この時点から、小さい粒々がだんだん大きくなりながら、 更に大きな粒になっていきます。
この時間は、1分間で終わらせるわけです。
そうすることで、生地を傷めることなく、良好な状態で練り上げることができます。
何度も申し上げますが、この程度が、十分な鍛えであって、 これ以上のミキシングは、生地の破壊となってきます。

5.ミキシングの間違いが引き起こす麺質の問題

小麦粉に水分が入ると、グルテンが出来ます。
このグルテンは、次第に結合し、網目状の組織を形成しますが、 力が加わり続けると、緊張(ストレス)が発生し、 やがてグルテン組織の破断に至り、麺質が悪くなるため注意が必要です。
グルテン組織を成長、展開させるには、一旦生地を寝かせ、 グルテンの緊張を解く必要が有るので、程よいミキシングの後、生地を寝かせます。
これが、いわゆる「寝かせる」工程です。 寝かせることで、緊張していたグルテンが、緩んできます。
そうすると次の鍛えを受け入れる準備が整ったことになるわけです。
この時の寝かせを大和製作所では、「第一熟成」と呼んでいます。
熟成をはじめて提唱したのは「大和製作所」です。 また、業界初の「熟成庫」を作ったのも「大和製作所」です。

6.理想的な煉りによる美味しい麺の形状とは

美味しいうどんを見分けるのは簡単です。
食べてみる必要はありません。 茹でたうどんの麺を見るだけで簡単に分かります。
見分け方は下記の通りです。
前歯で噛んでみる、噛み切れない粘りの強いうどんほど良いのです。

うどん断面形状